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SPOT LIGHT
vol.03・真部 豊さん
「自分を信じる力を付けた宮田ジムでの10年間」
2000年8月19日インタビュー

 

管理人:今日は専門誌に載っていないような質問を中心にお伺いしたいと思いますが、まずは現役を引退されて今の率直なお気持ちはいかがですか?
真 部:ホントにみんなのおかげで楽しくボクサー生活が送れたな、という感謝の気持ちで一杯です。いやあホント楽しかったですよ 。
管理人:まず真部さんがボクシングを始めたキッカケは何だったんですか?
真 部:いやー、運動不足解消ですねぇ(笑)
管理人:そーだっだんですか(笑) 失礼な質問ですけど、ボクシングを始めたときにチャンピオンになってここまでくると思ってましたか?
真 部:いやー全然(笑)
管理人:デビュー当時の目標は何だったんですか?
真 部:始めたときには、何試合かやるということ。(笑)ホント最初は一回でも勝ちたいなっていうのが目標でしたね。そして勝つと、6回戦、8回戦になりたいなーっていうように、その時その時での上の状態を目指してきましたから。8回戦になったらランキングに入りたいなーって思って、ランキングに入ったら上に上に行きたいなーって思って、ランキングが上がってきたらチャンピオンになりたいなーっていうような感じで 。

管理人:日本タイトルを意識し始めたのは、どのあたりの時だったんですか?
真 部:そーだなあ。8回戦、10回戦に上がった時あたりですかね。
管理人:ボクたちファンは、真部さんが3度目の挑戦で日本タイトルを獲るまでが、キャリアの中で長く大変な時期だったように思うのですが・・・
真 部:そうですね。やっぱり長かったですね。後から考えると、そんなに大して時間があったワケではないんでしょうけど、長く感じました。
管理人:もしかしたらタイトルに手が届かないんじゃないかと思ったことは?

真 部:そうですね。やっぱりそういう運命ってあるじゃないですか。もしかしたらそうなんじゃないかとか考えたりもしましたけど、最後の3回目の挑戦がラストチャンスで、そんなのじゃダメなんだと思って

管理人:3回目のタイトル挑戦(97年12月・日本Jフェザー級タイトルマッチ・福島恭四郎戦)は、どのような気持ちで臨んだんですか?
真 部:やっぱりラストチャンス、最後なんだと(自分を)追い詰めていましたから、結果が出ましたよね。
管理人:先日、タイトルを獲った試合のビデオを見せて頂いたのですが、7R以降は気迫で攻めている感じが良く分かったのですが、そのあたりは?
真 部:それでもやっぱり(10Rに)ストップするまでは安心できませんでした。あと1分ちょっと長ければ、また判定になってダメだろうなって思いましたから必死でしたね。倒しに行かないとダメだなって思って行きました
管理人:今度はチャンピオンになって追われる立場となりましたが、チャンピオンになってからはどうでしたか?
真 部:やっぱりチャンピオンになってからは本当に充実していましたね。
管理人:2年間、王座を守っているときのプレッシャーというのは?
真 部:あまり感じませんでしたね。というよりも早く日本タイトルよりも世界やりたいなーっていうふうに思ってましたから。
管理人:チャンピオンになってからの真部さんは、北島桃太郎戦(99年4月5日・3度目の防衛戦)のように、乱戦で自分のペースにしてしまう勝ちパターンを築いていたように思いましたが?
真 部:そうだと思いますね。戦いの中でペースを掴んで、相手が思ってもいないようなパンチを出して、相手が思い通りにいかない試合をやるっていうのを目指して、スパーリングでも練習してきたんですけど。
管理人:ところで、真部さんは宮田ジムとともに10年間歩んでこられたわけですが、宮田ジムについてはいかがですか?
真 部:いやあ、ホントに運命的なものだと思いますよ。ジムの開設当初に出会った訳でもありますし
管理人:宮田会長との出会いはどうでしたか?
真 部:ホントにお世話になりましたね。(印象的な出来事についてはの問いに) うーん、そうだなあ。沢山あるからなあ。会長とは一緒にケニアに行ったこともあるし(アサナス・ヌザウ戦)。でもやっぱり日本チャンピオンになる前はフレンドリーでしたが、なった後は、会長!って感じになりましたね
管理人:宮田会長も日本チャンピオンを(松倉義明選手と)2名かかえ、日本チャンピオン所属ジムの会長として変化があったのでしょうか。さて、ケニアの話が出ましたが、真部さんは以前専門誌にも出ていましたが、世界中いろいろなところで試合をすることが夢だと考えていたそうですが・・・
真 部:そうですね。ケニアでの試合の話は突然来た話だったんですよ。で最初はベネズエラだっていう話だったんですが、ケニアっていうことになり、まあ、どこでもいいやって感じで(笑) しかも会社の休みなんか取れるかどうかなんて聞いてもいないのに、もう行ける行ける!っていう感じで
管理人:現地に着いて、試合までっていうのはどんな感じだったんですか?
真 部:一番緊張しました。あの試合が一番。
管理人:当日会場の雰囲気はどんな感じだったんですか?
真 部:もう黒人ばかりで、見世物の箱っていうか、コロシアムに放り込まれているような、そんな気分になりましたね。一番緊張しました。
管理人:やっぱり日本の試合場なんかとは違うんですか?
真 部:なんかジロジロ見られているっていうか、視線が違いましたね。
管理人:試合は有利に進めながら地元判定での敗戦と聞いていますが
真 部:でも実は試合展開はよく覚えていないんです。1Rが終わったときに(高地のため)酸欠になっていて、あまり記憶していないんですね。ダウンを取ったのもかすかに覚えている程度で。
管理人:じゃあ試合が終わったときに、ポイント計算なんかは?
真 部:どっこいどっこいくらいかなって思ったんですけど、それでは(敵地なので)取られているなって
管理人:でもこのケニアでの試合もボクサー生活の良い思い出っていう感じなんですね。
真 部:そうですね。
管理人:あと真部さんは、史上最強の証券マンのキャッチフレーズで活躍されたように、証券会社に勤務されながらのボクサー生活でしたが、ボクシングと仕事の両立については?
真 部:全然問題ありませんでしたね。それはそれで楽しくて、職場の理解もあって、そういう意味では良い職場でやらせてもらっていたと思います。
管理人:でも朝走って、ハードな仕事をして、夕方ジムワークして、っていう生活は正直大変だったのでは?
真 部:いやあ全然思わなかったです。仕事が体力仕事じゃなかったんで、大丈夫でしたね。
管理人:技術的にはチャンピオンになる前となった後では変化はありましたか?
真 部:自分では結構最後のころは巧くなってきたなって思いましたけど、でも逆にそういう自信が最後(5度目の防衛戦の福島学戦)にああいうことになっちゃったのかなと思いますね。技術的には最後はかなり良くなったと思いますね。
管理人:得意なパンチは新人の時に得意としていたものと変化はありましたか?
真 部:でも基本的には最初の頃と変わっていないなと思いますね。まあガンガン行ってっていう感じで・・・
管理人:普段は穏やかな真部さんですが、毎回試合では闘志むき出しっていう感じがしましたが、試合のときは自然とああいう感じになったんですか?
真 部:そうですね。なんかノリやすいっていうか。自分の世界に入っちゃうんですよね。控え室では鏡の前で何度も睨んでみたりとか。
管理人:あと真部さんは現役生活中にご結婚されてタイトル獲った頃にお子様も生まれて、そうした環境の変化っていうのはどうでしたか?
真 部:(結婚などは)良かったと思いますよ。やっぱり。(奥さんとは)よく話し合ったりしますし、何でもあったことを話したりして、そういう意味ではボクも気が楽でしたよね。
管理人:いやあ、ホントに真部さんは職場にも家庭にも恵まれてって感じですねぇ。
真 部:97年12月13日にタイトルを獲ったんですけど、その日は土曜日だったんです。そして15日(月曜日)に会社に行ったら、ワーってみんなに拍手をされて、そして30分くらいしたら職場に電話がかかってきて、そうですか。って電話を切って、みなさん子供が生まれますんで帰ります!って言ったらまた拍手されて。一日二回拍手喝采を浴びたという日でしたね。
管理人:いやホントに良い日だった訳ですねぇ。真部さんは約10年ボクシングを続けてこられた訳ですけど、ボクシングから学んだことというのは何ですか?
真 部:いろいろあるけど、やっぱり自信が付いたんじゃないですか。自分がこんなこと出来るんだっていう。それまでそんなこと出来るなんて思っていなかったし。自分を信じる力ができたと思います。
管理人:長く現役生活を続けてこられて、ずっと心がけていたことはあったんですか?
真 部:うーん。やっぱりボクは自己管理できてた方だと思うんですよね。やっぱりキチンと睡眠とって栄養とってってやらないと(ボクシングは)出来ないと思っていたし。
管理人:試合がないときにはハメをはずさないまでも、結構リラックスしていたんですか?
真 部:ボク、昔、異常に食っていた時期があったんですよ。でもそういうのも途中から無くなって。やっぱり30近くなると体重も増減しなくなったし、楽にはなってきましたね。以前は、多いときは10キロくらい減量していた時もありましたからね。
管理人:引退を発表されて日は経っていませんけど、何か生活の中で変化はありましたか?
真 部:ええ、一番の変化は身体がずいぶん小さくなっちゃったことですね。筋肉が落ちちゃって。
管理人:ウェート的にはどうなんですか?
真 部:ウェートはほとんど変わってないですね。
管理人:専門誌には今後、真部さんは宮田ジムの興行のプロデュースを手伝っていく、って書いてありましたが、これからのボクシングとの携わり方というのは?
真 部:秋の宮田ジムの興行を手伝わせて頂く予定です。まあ会長のお手伝いって形になると思うんですけど。
管理人:ゆくゆくは選手を教えてみたりとかはお考えですか?
真 部:これからもどんどんボクシングには携わっていきたいなと思ってます
管理人:真部さんのファンの方々へメッセージをお願いします。
真 部:今まで応援ありがとうございました。おかげで楽しいボクサー生活が送れました。何より楽しかったです。
管理人:やっぱり真部さんはプラス発想なんですねぇ。あれだけのことを楽しく、っていうのはプラス発想の人じゃないと出来ませんよね。ずっと真部さんのことは明るい人だなとは思っていましたけど・・・
真 部:そうですね。基本的にプラス発想だと思いますね。まあ、調子に乗りやすいだけなんですけど
管理人:これからの人生の抱負を聞かせて下さい。
真 部:これからはボクシング以上に活躍できるように頑張ります。ここで学んだことを生かしてね。
管理人:ありがとうございました。頑張って下さい。
インタビュー後記(2000.8.19)
宮田ジムの歴史と共に歩んでこられた真部さんがグラブを吊るしました。少し寂しさを感じますが、努力家の真部さんの話をお聞きして、ひとつひとつの積み重ねが大切なのだと本当に勉強になりました。
地道な努力の積み重ねを、自然に明るく前向きにこれを実践することは本当に大変なことです。でも、大変なこともきっと多かったに違いないボクサー生活を笑顔で振りかえる真部さんが、同世代の管理人には最高にカッコ良く見えました。
人間的に立派な真部さんから、これから機会があればまた管理人も色々と学ばせて頂きたいと思います。
真部さん、本当に今まで感動的なファイトをありがとうございました。そして多くのことを教えてくれてありがとうございました。
真部スピリットが宮田ジムに受け継がれ、後輩ボクサーたちが飛躍されることを望みます。
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